ビジネス

生産性向上の手順

働き方改革の実現のためには、生産性向上は至上命題です。
生産性向上は「付加価値の向上」と「コスト削減」で成り立ちますが、今日はこのうち、コスト削減を進める上で必要なプロセスについて、私の経験談とともにご紹介したいと思います。

経験談「それってやる意味あるの?」

昔の話ですが、チーム内のコスト削減のため、とある業務の自動化を上司に提案したことがあります。
私はコスト削減は絶対正義と思い、特に深く考えることなく思いついた自動化施策を提案しただけでした。

ところが上司からの答えはNo。

「え?なんで?」と思いましたが、理由は、本当にやるべきことがどうかわからないから判断しようがないということでした。具体的には以下のようなことを言われた記憶があります。

  • そもそも、これ以上コスト削減する必要があるのか?
  • 削減する必要があったとしても、なぜその業務を自動化するのかわからない。
  • 自動化によって得られる効果はどれだけか?
  • 自動化にはどれだけの工数が必要?いつ終わるの?

総括すると、コスト削減の取り組みをやる目的と、施策が正しいかどうかを判断するものさしがないということでした。
上司はストーリーを重視する方だったので、ストーリーのないまま、ただ手をつけるということを許さなかったのだと思います。

改善ストーリーの作成

コスト削減の必要性に納得してもらうには、まず現在の状況と理想とする姿を理解してもらい、理想に近づくためのアクションを説明する必要がありました。

これを以下のプロセスで明らかにしていきました。

プロセス作業内容注意事項
①現状の理解今の業務にどれだけの時間がかかっているか、作業項目を洗い出して一覧を作成する
②あるべき姿の設定①をカテゴリ別に集計し、どのカテゴリにどれだけの時間をかけるべきかを裏付けとともに設定するこの時、全体的に一律で*割削減とせず、戦略的に削減対象を選定する
例えば、第一ステップでは効率化の費用対効果の高い◯◯業務に特化して効率化を進めて余裕時間を作り出す
第二ステップでは余裕時間を使って、効率化の難易度の高い**業務の効率化に取り組む など
③問題箇所の特定①と②の差分から削減したいカテゴリ内の作業項目を見て、ボトルネックとなっている作業を特定するポイントは、作業頻度の多いもの/作業時間の長いもの/手作業が多く作業ミスの可能性が高いものなど
④解決策の策定③で特定した作業を対象に、効果的な削減案と削減時間の見込みを設定する
設定した削減見込みで②のあるべき姿を実現できるか検証する
削減が不足している場合はさらなる削減ができないか再検討する
それでも削減できない場合は②のあるべき姿の見直しを実施する
⑤関係者合意この時点で上司を含む関係者の合意を取る
⑥解決策の実行④で策定した解決策に従って、手を動かして自動化する
⑦評価④で策定した解決策通りの削減時間を実現できているか、新たな問題が発生していないか定期的に確認し、結果を関係者へ共有する是正が必要な場合は、解決策を修正し、関係者合意を得る

まとめ

最初に提案したとある業務の自動化は、この一連のプロセスで策定した解決策の中に含まれていたため、間違いではありませんでした。
しかし、対応が十分ではありませんでした。

また、個々に思いついたベースで着手しても、効果が見づらいので、下手をしたら、ただの趣味扱いされる可能性もあります。

今回は内部作業のコスト削減でこのプロセスを実施しましたが、このプロセスはお客様の課題解決を含むほぼ全てのビジネスに当てはまると思います。

最初に目的・目標・施策を関係者と合意し、これに取り組む。取り組み後は定期的に効果を測定して改善していく。

このプロセスを組み立てるのは、思いつきでやることに比べるととても大変でした。
しかし、無駄な手を打たず効果的に仕事を進めるためにも重要なプロセスだと今では痛感しています。

今回は以上です。

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