ビジネスシーンでは課題解決の連続になりますが、皆さんはこの課題をどのように管理されているでしょうか?
今回はプロジェクトを進める上での必須ツール「課題管理表」について、目的と具体例をご紹介していきます。
課題管理表の目的
私の考える課題管理表の大きな目的は次の3つです。
- 課題をプロジェクトメンバー内で共有認識できる
- 課題の5W1Hが明確になる
- ステークホルダーへ状況説明しやすくなる
順に説明していきましょう。
課題をプロジェクトメンバー内で共有認識できる
プロジェクトは複数人数で実施することが多いと思いますが、それぞれ課題と感じていることは案外違っているケースが多いです。課題管理表を作る段階で、各メンバーの認識している課題を明文化していく中で、全メンバーの課題として認識されていきます。
また一人プロジェクトであっても課題を一覧に書き出すことで、記憶忘れ防止になるのでとっても有用です。
課題の5W1Hが明確になる
課題管理表に正しく書くことで、現時点とあるべき姿のギャップ、ギャップを解消するために実施すべきアクションを明確にできます。
また課題ごとに締切と担当者をちゃんと指定することで、その課題の責任者が明確になります。
ステークホルダーへ状況説明しやすくなる
お客様や上司などに、プロジェクト状況を説明しやすくなります。
例えば、「現時点で未解決の課題が10個ありますが、全て今月末までに完了予定です」など。
数字で説明することで説得力が増し、ステークホルダーに納得して貰えやすくなります。
また、課題がちゃんと管理されているんだな、という安心感にもつながります。
課題管理表の具体例
では次に課題管理表の具体例を見ていきましょう。
準備
Torello、Redmine、Backlogなど多くのタスク管理のサービスがありますが、簡単にパッと始めるならExcelやGoogle スプレッドシートなどの表計算ソフトを用いて作成すれば良いでしょう。
まず、1行目に各列のタイトルを設定します。
必要最低限の項目は以下です。
課題ID、課題タイトル、ステータス、課題内容、対応内容/解決の方向性、担当者、納期、完了日
課題が多く、1画面に収まりそうにない場合は、表計算ソフトの1行目を固定しましょう。
また、フィルタ設定しておくと、ステータスや納期で条件抽出できるので後から便利です。
課題の洗い出し
課題管理表の準備が終わったら、現時点で認識している課題を書き出しましょう。
各項目の注意点は以下になります。
- 課題ID
課題を識別するためのID。重複しないように追番で採番する。
「課題ID19の担当者を変更したい」などと、一つ一つの課題を指定する時に使います。
- 課題タイトル
課題内容を端的に示す文章。 - ステータス
次のいづれかから選択。- 未着手:まだその課題に取り組んでいない状態。
- 対応中:担当者が対応に着手している状態
- 承認待:担当者の対応を完了し、プロジェクトリーダーの承認を待っている状態。
承認されると完了、却下されるとそのフィードバックをもとに対応中に戻す
- 完了:その課題が完了となった状態
- 取消:一旦課題として上がったが、その後課題がなくなった場合に設定。取消理由は対応内容欄に記載しておく
- 課題内容
課題の詳細を記載する。
注意したいのは課題≠問題であること。
実行可能なアクションにつなげられるように「~~する」の文体で記載する。
例:❌単体テストで20件の障害が発生した
例:⭕️単体テストで発生した20件の障害を分析し、次回プロジェクトに向けた是正策を設定する - 対応内容/解決の方向性
課題に対する具体的なアクションを記載する。
洗い出し段階で解決の方向性が決まっている場合はその方向性を記載する
例:12/5までにAさんが是正案のたたき台を作成し、これをもとに開発チームでMTGを実施して決定する
課題が解決した場合は、その決定事項を記載する - 担当者
その課題の担当者を名前で記載する。
”開発チーム”などとすると、責任の所在が曖昧になりかねないのと、ちゃんと個人名で記載することで当事者意識の持ち具合が高まるので、個人名での記載を推奨する - 納期
その課題を解決する期限を設定する。
納期がまだ先の場合は12月末などの記載方法でも良いか、納期が近づくに従って、作業計画との兼ね合いを見て、具体的な日付を設定する - 完了日
その課題が解決した日
課題管理表の運用
最初の洗い出しが終わったら、課題管理表の運用ルールもメンバー内で共有しておきましょう。
例えば、
- 課題一覧は誰でも記入可能とするが、記入後にチームメンバーへメールで案内する
- 毎週金曜日の週会で、課題一覧をチームメンバー内で読み合わせて進捗状況を確認する
- 課題の完了は、対応状況を集会で確認後に実施する
プロジェクトの期間やスピード感にもよりますが、基本的にはプロジェクトリーダーは課題管理表を毎日チェックして、進捗に問題のありそうな課題のフォローを行いましょう。
課題管理表に記載した担当者は、課題対応の遂行に対して責任を持ちますが、課題が計画通りに解決されているかの管理責任はプロジェクトリーダーにあります。
まとめ
以上、課題管理表の目的と具体をご紹介しました。
私はこれまでの経験から、課題管理表の肝は、継続して運用することにあると思います。
課題管理表の更新頻度が低く、段々と使われなくなると、せっかく認識していた課題も見落とされがちになり、プロジェクト終盤であたふたすることになります。
そのため、リーダは課題管理表チェックというタスクを、毎日のTODOリストの中に入れたり、リマインダーで毎日通知したりして、課題を継続的に積極的に管理していくようにしましょう。
今回は以上です。
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